「人間発電所 ブルーノ・サンマルチノ」
名前の通りイタリア系、見た目の通り超絶ストロングスタイルのプロレスラーで、日本でも全日のリングで馬場&鶴田との激闘がありました。(残念ながら、2018年に82歳にて逝去)
この超絶ストロングスタイルの系譜は、深い因縁を持ってスタン・ハンセンに繋がっていきます。人気と実力絶頂のサンマルチノは、まだ無名に近いハンセン(当時26歳)と1976年にニューヨークMSGで対戦、なんとハンセンのボディースラムで「首を折られる」という衝撃。。。(ウエスタン・ラリアットではなかった!)
さて、話は変わって本日のお題は、リニューアブルでサスティナブルな水力発電所です。我が家の周辺には、酒匂川水系と早川水系に水力発電所が多数あります。
本当はもっと早くこのレポをまとめたかったのですが、(元)大山豆腐工場の火災で新大口橋を封鎖されてしまい、やっと橋の向こう側に行くことができました。
▪️早川水系の水力発電所(静岡県内は除く)
「神奈川県には水不足はない」という都市伝説の通り、酒匂川水系の神奈川県内だけでも、10箇所の水力発電所があります。足柄平野にはさらに早川水系にも水力発電所が6箇所あります。(Ref. (社)電力土木技術協会 水力発電所データベース)
これは水量だけでなく、地形的な特徴で発電に必要な落差を稼ぎやすい点があるようです。
▪️下流側から順番に見ていく(近場の足柄平野編)
発電所に関するデータは、(社)電力土木技術協会 水力発電所データベースから引用しています。
福沢第二発電所
- 最大出力 :1,030 kW
- 常時出力 :396 kW
- 発電形式 :水路式
- 発電方式 :流込み式
- 当初運転開始年月 :1931.03
- 最大使用水量 :18.09 m3/s
- 有効落差 :6.97 m
福沢第一発電所
- 最大出力 :1,460 kW
- 常時出力 : 860 kW
- 発電形式 :水路式
- 発電方式 :流込み式
- 当初運転開始年月 :1931.03
- 最大使用水量 :20.31 m3/s
- 有効落差 :8.79 m
内山発電所
- 最大出力 :3,900 kW
- 常時出力 : 2,200 kW
- 発電形式 :水路式
- 発電方式 :流込み式
- 当初運転開始年月 :1918.01
- 最大使用水量 :20.90 m3/s
- 有効落差 :24.36 m
山北発電所
- 最大出力 :7,000 kW
- 常時出力 :3,600 kW
- 発電形式 :水路式
- 発電方式 :流込み式
- 当初運転開始年月 :1914.12
- 最大使用水量 :20.90 m3/s
- 有効落差 :39.87 m
▪️上流域もできれば見に行きたいが・・・(事前検討)
自宅から山北発電所まで、往復約40km。Kanatec電動自転車が1回の充電で走れる距離は、メーターの表示上70kmですが、残り20kmを切るとバッテリー電圧が下がり始めるためか、アシスト力がだんだん落ちてきます。なので、実行的には往復50〜60kmが限界。(バッテリーとKanatecの体力が、ちょうどいい感じでバランスしている)
Googleでルート検索すると;
- 嵐発電所や峰発電所の往復で51km
- 三保ダム下の田ノ入発電所までの往復で60km
- 三保ダム上の落合発電所までの往復で65km(田ノ入発電所を経由)
- 玄倉第一発電所までの往復で70km(田ノ入発電所、落合発電所を経由)
- 玄倉第二発電所までは通行止めなので行けない
こんな感じなので、「峰発電所や嵐発電所は往復で54kmなので行けそう、バッテリーと体力次第で三保ダム下の田ノ入発電所が限界」のようです。
連休中は道路も混み、自転車でも走りにくそうなので、行くにしても連休明け〜梅雨入り前です。
このため、以下は(社)電力土木技術協会 水力発電所データベースによる予習です。
嵐発電所
(写真なし)
- 最大出力 :5,700 kW
- 常時出力 :800 kW
- 発電形式 :水路式
- 発電方式 :流込み式
- 当初運転開始年月 :1920.08
- 最大使用水量 :8.35 m3/s
- 有効落差 :83.83 m
峰発電所
(写真なし)
- 最大出力 :8,900 kW
- 常時出力 :2,900 kW
- 発電形式 :水路式
- 発電方式 :流込み式
- 当初運転開始年月 :1910.03
- 最大使用水量 :16.50 m3/s
- 有効落差 :63.65 m
田ノ入発電所
(写真なし)
- 最大出力 :7,400 kW
- 常時出力 :0 kW
- 発電形式 :ダム式
- 発電方式 :貯水池式
- 当初運転開始年月 :1978.04
- 最大使用水量 :12.00 m3/s
- 有効落差 :71.87 m
落合発電所
(写真なし)
- 最大出力 :7,000 kW
- 常時出力 :1,500 kW
- 発電形式 :水路式
- 発電方式 :調整池式
- 当初運転開始年月 :1917.03
- 最大使用水量 :4.56 m3/s
- 有効落差 :185.38 m
玄倉第一発電所
(写真なし)
- 最大出力 :4,200 kW
- 常時出力 :800 kW
- 発電形式 :水路式
- 発電方式 :調整池式
- 当初運転開始年月 :1958.04
- 最大使用水量 :2.00 m3/s
- 有効落差 :258.20 m
玄倉第二発電所
(写真なし)
- 最大出力 :2,900 kW
- 常時出力 :400 kW
- 発電形式 :水路式
- 発電方式 :調整池式
- 当初運転開始年月 :1960.01
- 最大使用水量 :2.00 m3/s
- 有効落差 :175.55 m
▪️お勉強(1) 発電の効率
水力発電は、水の持つ位置エネルギーで水車を回し、発電機で発電するシンプルな原理なので、(最大使用水量x有効落差)と(最大出力)の相関を見てみました。
[訂正]単位系を合わせるため、重力加速度を加味して計算し直しました。発電効率の理論値は最大で1、実際は色々ロス要因があるので1を下回り、0.8前後に収まる。シンプルな原理なのでいい感じですね。
▪️お勉強(2) 運転開始時期
お侍さんが刀を刺していた時代から、たった20年後に日本初の火力発電所ができたなんて、超高速な近代化です。
1887年に茅場町に設置された日本最初の火力発電所である第二電灯局の発電量は25kWとのことなので、今では貴重品になった100Wの白熱電球250個が目一杯。ガス灯の代わりとして地域の街路灯用の電力を作るのが発電所の始まりだったので、こんな感じでしょう。(当時の街路灯はアーク灯、エジソンが白熱電球を発明したのは1879年)
その後、電力の需要が伸び、また高圧による長距離送電も可能になったこともあり、水力発電所が一気に増えました。
- 1923年(T12)の関東大震災が、大正〜昭和初期の年表を見る際のポイント
- 日本の軍国主義化がピークに達した1931年(S6)満州事変〜1945年(S20)終戦が、昭和前半の年表を見る際のポイント
今は東電傘下の発電所ですが、峰発電所や嵐発電所は富士瓦斯紡績株式会社が、落合発電所は東京湾埋立株式会社が運転開始した歴史があります。
- 富士瓦斯紡績株式会社 :現在の富士紡HD。1898年に小山工場を新設し操業開始
この当時、「瓦斯」と「紡績」は時代の先端企業。 - 東京湾埋立株式会社 :現在の東亜建設工業に繋がるらしい。鶴見沖の京浜工業地帯の埋め立てに関わった企業。
この辺の歴史も調べてみたい。
- 電気の歴史(日本の電気事業と社会)(電気事業連合会)
▪️お勉強(3) 水路トンネル
江戸時代に作られた荻窪用水や深良用水の水路トンネルは、人力で「ノミとカナヅチ」で掘ったものです。あれこれネットで調べ物をしていたら、深良用水の芦ノ湖側から裾野市側にカメラを積んだフロートを流して、トンネル内を撮影した動画を発見しました。
- 深良用水隧道内の動画(裾野市)
- 深良用水水中の動画(裾野市)
入り口部分と出口部分のトンネル壁面は整備されてますが、深部は岩盤剥き出しの素掘りのまま。怪しい虫やコウモリが飛び交う地底の世界です。カメラに何か謎の生物(例:ネロンガ)が写ってないか気になり、最後まで動画を見てしまいました。
こちらも、大正時代の水路トンネルの工事方法について調べてみたい。
(一旦終わり)