答えを先に書くと、酒匂川により運ばれた「御殿場泥流」が堆積した土地を酒匂川が侵食し、その境界面が段差状になっています。幹線道路は整地されなだらかな坂になっていて気づきにくいですが数m程度の段差があります。
完新世(=比較的新しい時代で、最終氷期が終わる約1万年前から現在)の海底の堆積物で出来た土地が隆起した後、酒匂川で運ばれた氾濫の際の堆積物の最上部に、御殿場泥流堆積物(=2,900年ほど前の富士火山東斜面の山体崩壊堆積物)が2mほど堆積している。(Ref. 国土地理院発行の「土地条件図」)
大迷惑な某隣国発の新型ウィルス対策で引きこもりしていた時に机上調査したのを思い出し、今回は現地調査をやり直してみました。(Ref. 2021年 小田原の謎(6):鴨宮の台地)
顕著な段差地形は;
- No.1〜8 :飯泉の勝福寺南側から南東方向に約1.7km、鴨宮駅北口まで直線上に伸びる崖地形(北東側が高い)
- No.9〜11 :鬼柳堰?(用水路〜排水路)が台地を侵食してできた谷地形
- No.12〜16 :矢作小学校付近を取り囲むようにワンド状になった崖地形(南西側が高い)
- No.17〜20 :下菊川が台地を侵食してできた谷地形
- No.21〜22 :下菊川の東海道線ガード付近から南方向に1.2km、国道1号線付近まで川に沿って伸びる崖地形(東側が高い)
No.1〜8 飯泉の勝福寺〜鴨宮駅北口の崖
御殿場泥流堆積物による台地を酒匂川が侵食して出来た1.7km続く崖線(がいせん)で、明確な段差が多く残っています。
No.9〜11 鬼柳堰?渓谷
新田開発の名残か、この辺りは用水路が多く流れており、どの流れが鬼柳堰の本線なのかわかりません。(Ref. ぢ・暗渠 鬼柳堰の流路が追えない!)
特に賀茂神社の北西〜巡礼街道で囲まれたエリアは、段差と水路と行き止まりの狭い路地が入り組んだダンジョンであり、土地勘のない人が車で入り込むのは避けたほうがよさそう。自転車で何度も通っているが、いまだに道を覚えきれず。
No.12〜16 矢作小学校ワンド
なんかブラックバス釣りの有名ポイントのような仮称です。上から見るとわかりやすいのですが、昔の下菊川が西に蛇行していた河道の名残でワンド状の地形になってます。
No.17〜20 下菊川渓谷
矢作集落から下流の下菊川も昔は細かく蛇行していたようです。現在は直線的に流路を改修してますが、巡礼街道付近までは渓谷地形が見られます。
No.21〜22 下菊川(つづき)
国立印刷局の導水管を超えて南下を続ける下菊川、もう渓谷感はないが左岸(東岸)側が右岸(西岸)と比べて高く段差になっています。
まとめ
賀茂神社の北西〜巡礼街道で囲まれた、段差と水路と行き止まりの狭い路地が入り組んだダンジョンの道を早く覚えないといけない。モタモタしてると、自宅周辺の道も認知できなくなってしまう恐れが・・・