ぢ・暗渠 鬼柳堰の流路が追えない!

酒匂堰に次ぐ小田原No.2(=根拠不明)の用水路「鬼柳堰」。

始点である「強力わかもと」西の取水堰と、終点である「ヨークマート酒匂店」南の酒匂川への放流点はわかるのですが、流域の途中の鴨宮付近が暗渠化されている上、複数の水路があり、どれが本筋なのか流路が追えない。

用水路には入らない

流路が追えなくても生活上の支障は何もないのですが、暇なので放流点から取水点まで遡って調査してみました。なお今の時期は、田植えのため水量も多く、用水路見学には最適な時期です。

■便利なGoogleマイマップにて調査結果をご紹介

「地図+コメント+写真」のコンテンツをまとめるのに、とても便利なサービスです。順次現地調査の結果をまとめていきます。

■流路が追えない場所

下流側から順番に示します。

  1. 南鴨宮富士見公園から、暗渠になります。ここの暗渠部分は、水路にコンクリートで蓋をし、狭い路地ながらガードレールで分離された歩道になってますので、比較的追いやすいです。また水量の多い時期なので、グレーチング下の水音も聞こえます。
  2. 下新田交差点から先も暗渠が続きます。以前から気になっていた、車両通行止めの怪しい斜めの道の正体がわかりました。この先、途中から普通のアスファルト舗装になり、外見上の特徴がないのですが、暗渠や水路にありがちな町割りを無視した斜めの道を進みます。
  3. 下新田の東海道線の高架下、暗渠化された部分が車両通行不可の天井高が異常に低い通路になってます。これを越えて新幹線のガード下で短い区間だけ開渠になりますが、これが鬼柳堰か確認できる情報がありません。
  4. 巡礼街道に向け、それらしき流れを追いましたが、他にも水路がいくつかあり、これが鬼柳堰か確認できる情報がありません。ここから先は水量の多い流れを追います。なお、この辺りは「御殿場泥流により形成された鴨宮台地」の縁を水路が流れているようです。
  5. JA神奈川西湘の西側あたりで水路に並行する道がなくなります。鴨宮台地に水路を通すためか、かなり深い谷状になってます。田植えの季節のため、相当量の水量があるはずなのですが、この先流路を見失います。
  6. 鴨宮のOK動物病院の西側で、「鬼柳堰 鴨宮支線」との表記のある水路を発見します。先ほどのJAから400mほどの区間の繋がりがわかりません。下新田から追ってきた水路とは別の流れのようです。

ここから先はほぼ全域開渠になってますので、確実に流路を追うことが出きました。

まとめると、「下流から流れを追った際の流路と、上流から流れを追った際の流路が繋がらない」という状況です。

流路を見失ったこの辺りは、土地に起伏があり流路が複雑な上、住宅密集地のため流路が追いにくいエリアです。更に多くの水路や暗渠もあり、これが流路を追うのを難しくしています。

可能な限り机上で情報収集し、現地での再調査に臨みたいと思います。

■2022.06.13 鴨宮支線の下流調査(机上検討)

Google Street Viewで上流から暗渠を下ってみる

①鴨宮のOK動物病院の南側(=下流側)から、Google Street Veiwで暗渠を下流に向かって追ってみます。

②「下府中集会施設バス停」前です。

「下府中集会施設」はその辺の小さな町内公民館と思ったら大間違いで、かなり規模の大きな建物です。昭和23年に、下府中村が小田原市に併合される前の、村の重要施設かもしれませんが、今回は気にしないことにします。(注:小田原市の広報誌によると、S35には存在していたので、築60年を越えている。)

ここから先、「水路にコンクリートで蓋をし、狭い路地ながらガードレールで分離された歩道」を追って、県道718を南下します。

これこそ「ぢ・暗渠!」と言えるような、典型的な歩道が続きます。

③モスバーガー東側の「下府中集会施設入口」交差点を、「水路にコンクリートで蓋をし、狭い路地ながらガードレールで分離された歩道」を追って直進し、狭い路地方向に進みます。

④ヤオマサ駐車場の東側です。

下手くそドライバーにとっては、乗用車のすれ違いも厳しい狭い道ですが、「水路にコンクリートで蓋をし、狭い路地ながらガードレールで分離された歩道」が続きます。

以前、車を左側に寄せられない中年女性(一般に「おばちゃん」と呼ばれる)ドライバー運転の車と正面衝突しそうになったため、それ以降はこの道は車では絶対に通りません。

⑤新幹線の高架をくぐり、県道718の7叉路に到達したあたりで、Google Street Veiwでは暗渠が追えなくなってしまいます。

ここから先は現地確認が必要です。

1960年頃の航空写真で流路を追ってみる

1961〜1969年の航空写真(国土地理院)

残念ながら解像度に限界のあるモノクロ写真なので、幅の狭い直線的な水路(暗渠、開渠とも)と道路を識別するのは難しいです。

なお余談ですが、酒匂堰と下菊川を繋いでいるような謎の水路は、現在もその遺構が残っているので、ずっと気になっている存在。これは別途調査したいです。

■2022.06.14 本線判明(ただし机上調査)

参考文献:「横浜水道みちを行く」、其の154 酒匂川左岸の鬼柳堰を歩く

なんかとてもすごいWebサイトを見つけました。川や水路の探索歴は10年を越え、タイトルは「横浜水道みち」ですが横浜市内は既に制覇し、現在では神奈川県も飛び出しています。

Kanatecのへっぽこ調査で、途中の重要な分水堰を一つ見逃していたようです。それに、ムシ・ヘビ・ジメジメが大嫌いなので、モジャモジャ水路には近づけないのも原因のようでした。

①PCデポの裏手(南側)に分水堰があり、本線は南西側に続いていました。Kanatecが下流から追ってきた鴨宮支線は南東側に続いてます。

②小田原厚木道路 小田原インターの 上り線入口付近、タイヤ屋さんの裏手です。

この先はR255の東側に沿って流れます。

③ケーヨーデイツー横、鴨宮中学校入口で、本線は東方面に流れを変えます。青い水門の先の南側にも支流が続きます。

④鴨宮中学校の手前で、南方面に流れを変えます。

コンクリートで護岸が固められた用水路をイメージしていたため、このモジャモジャの自然の小川を完全に見逃してました。

⑤印刷局導水管が埋設された「謎の斜めの道」との交差部分です。

1枚目の写真が上流(北)側を見た様子、2枚目の写真が下流(南)側を見た様子です。下流側に行くとJAの裏手につながり、河口から追ってきて流路に繋がります。

最初の現地調査の際、ここまで来たのですが、ムシ・ヘビ・ジメジメが嫌いなため、このモジャモジャの中をよく見ませんでした。ちゃんと見ていたら、相当量の水流が確認できたはずです。

■2022.06.16 別な流路を発見、こちらが本線?(机上検討)

赤い線で引いた方の流路です。

ケーヨーデイツー横の鴨宮中学校入口交差点を東に向かわず、そのままR255に沿って南下します。

飯泉交差点のガソリンスタンドの裏手を抜け、CoCo壱の横を抜けます。

鴨宮から上新田の住宅街をゴニョゴニョ抜けていきます。

Meji Seikaファルマの東側で、新幹線と東海道線の線路の下を抜けます。

東海道線の南側の住宅街で暗渠化し、そのすぐ先で下南鴨宮富士見公園から〜新田交差点を通る南鴨宮の暗渠に繋がっているように見えます。

Google Mapsで見る限り、全て人工的な水路なので、もしかする南に向かうこちらが本線かもしれません。1960年代の航空写真を見ても、R255ができる前からその場所に直線的な水路のようなものが見られます。

国土地理院航空写真(1961〜1969年)

■今後の課題 Update(水路の調査結果は、Google My Mapにまとめました)

  • 未調査になっている鴨宮支線との分岐からJAかながわ西湘 本店までの現地確認を実施。
    流路のモジャモジャ感や蛇行感より、この部分は人工の水路ではなく、自然の小川の流れを利用しているような気がする。
    →上記航空写真の青い水路の方、鴨宮中学校から下流は、天然の河川を放流路に使っているような気がするが、確証はなし。
  • ケーヨーデイツーの交差点から南に向かう水路をフォローしてみます。もし「鬼柳堰」に関する看板が見つかれば、こちらが本線になります。
    →上記航空写真の赤い水路の方が本線ぽい感じだが、こちらも確証はなし。なお、上新田の東海道線ガード下付近で赤い水路と青い水路が再び合流していると思われます。
  • 鴨宮駅北口付近 何本かある「斜めの道」の調査。
    多分、斜めの道が昔からの道で、線路に直角&並行の南北の道が後からできたような気がする。今回の机上調査にて、いくつかの水路や暗渠と共に、東海道線の小さな橋を見つけたので、これを現地確認。
  • 巡礼街道 なか卯裏にある謎の遺構。
    酒匂堰と下菊川間の導水路のように見えるが、現在は使われてない枯れた水路跡のみ残っている。小田原に引っ越してきた20年以上前、美濃里橋のすぐ下流の酒匂堰右岸に、何か構造物があった記憶があるが、今は何もない。
    こちらにまとめました。

(おわり)