備えなければ憂あり

なぜかコロナが収まった風に見えるが、ここで油断すると足元をすくわれたりするので、初心に帰り、座右の銘「備えなければ憂あり」を改めて徹底しましょう。

■「小田原の憂」の想定

小田原在住で想定すべき深刻な憂を抽出してみました。

  1. 地震と津波、それに伴う原発事故
  2. 火山の噴火
  3. 怪獣や宇宙人

■論点整理

話が発散しないよう、先に論点を整理します。

1)地震と津波、それに伴う原発事故

小田原で大きな被害が想定される地震並びにそれに伴う津波は、やはり相模トラフを震源とする地震でしょう。今から98年前、1923年9月1日の関東大震災が直近での最大の被害となりますので、これを基準に検討します。

また、2011年3月の東日本大震災は、小田原としては地震による直接被害よりも、原発事故による心理的な影響の方が深刻でしたので、地震や津波にともなう原発事故も想定します。

2)火山の噴火

小田原に直接被害を及ぼす可能性のあるのは、富士山と箱根の噴火でしょう。富士山は今から314年前の1707年の宝永の噴火のほか、箱根は6年前の2015年5月の小規模噴火が直近の噴火として挙げられます。

他にも見える範囲に常時観測対象となっている火山がいくつかあります。

3)怪獣や宇宙人

これまでに記録に残っているのは;

  • 1962年:ゴジラとキングコングが、小田原城を破壊(最新の研究で、小田原城ではなく熱海城という説が有力)
  • 1967年:渋沢駅〜新松田駅間の小田急ロマンスカー車内に、ワイアール星人が出現
  • 1989年:ビオランテが芦ノ湖に出現
  • 2001年:ゴジラ、モスラ及びキングギドラが小田原周辺を破壊

演出的にも、いきなり東京湾から現れて都心で大暴れするより、前振りで地方の海から現れご当地のランドマークを破壊後、一旦海に消え東京に再出現する方がいいと思います。

■地震と津波、それに伴う原発事故

1)地震と津波

1923年(大正12年)9月1日の関東大震災の震源は、相模トラフを震源とするフィリピン海プレートの沈み込みによる歪み蓄積の影響でした。

相模トラフを震源として、M7〜M8クラスの地震が起きると、小田原の想定震度は7
「立っていることができず、何かにつかまっていないと動くことができない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。」
と言われています。

なお、本社ビルは「1981年6月1日以降完成の新耐震基準」なので、「大地震において、倒壊しない程度」の強度があるらしいです。

津波については、市のハザードマップでは1m以下とされてます。立体駐車場の下段に駐車している車両は水没の恐れがありますが、本社ビルの高層階に住んでいるので人間は大丈夫でしょう。

西湘バイパスが防潮堤の役目をしている様子
川を遡上してくる津波に注意が必要

2)原発事故

2011年3月11日の東日本大震災後の空間放射線量の様子

です。

参考サイト:「日本の環境放射能と放射線」より

茅ヶ崎のモニタリングポストから福島第一原発までは直線距離で275km、最初のベントと水素爆発のあった時期に、春先の北東の風と雨の影響も重なり、空間放射線量が一気に上昇し、そのピークは約180nGr/h程度に達しました

ちょうどこの時期に「水パニック」が起き、スーパーからミネラルウィーターが消えました。

・・・で、実際のところ、この180nGr/hという空間放射線量がどの程度かというと、例えば;

  • 山口県の平常時の平均値は84−128nGr/h

で、特に西日本では花崗岩の影響により、関東地方より平常時の環境放射線のレベルが高いそうです。これと比較しても「直ちに健康に影響を与えるレベル」ではなかったということでしょう。(当時の官房長官の枝野氏発表による)

静岡県の浜岡原発が事故ったらどうなる?

小田原的に問題となるのは、御前崎にある浜岡原発で、直線距離で117kmしかありません。小田原から見ると原発は南西方向なので、風による影響も強く受けそうな方角にあります。(新潟の柏崎刈羽原発までは247km)

単純計算で、放射線量は「距離の2乗に反比例」として計算すると、同レベルの事故ならピークで1000nGr/h程度となります。

では、実際に福島第一原発から直線距離で130kmほど離れた水戸のモニタリングポストのデータを見てみると、3/15に47→1504nGr/hまで急上昇してます。大体「距離の2乗に反比例」であっているようです。

原発事故以前にも色々ありました

2011年の福島原発事故前から神奈川県や国は農産物や海産物、輸入食品の放射線量をモニタリングしており、農海産物から1986年のチェルノブイリ原発事故のフォールアウトの影響が出ています。

特にヨーロッパの輸入食材は結構なレベルの放射線が検出されているものがあります。(もちろん、国の安全基準以下ですけど。)

それに、お隣の中国では、1980年まで大気圏内核実験をやっており、子供の頃親からは「雨に当たるとハゲになるので、帽子をかぶりなさい!」って言われたのはこのためです。

その他の発見

2011年の原発事故発生時は、茅ヶ崎のモニタリングポストが至近でしたが、いつの間にか県立小田原城北工業高等学校にも追加設置されてました。酒匂川サイクリングロードのそばなので、今度偵察してきます。

【追記】偵察してきましたが、モニタリングポストらしきものは発見できませんでした。正門のすぐ左手に”らしき”ものがあったのですが、雑草まみれで国が管理する重要施設には見えず。
それよりも屋上にある鉄塔は何?いつも横を通るたびに気になってます。アマチュア無線のアンテナ鉄塔にしては立派すぎるし、複数立っているし。。。

謎の鉄塔

■火山の噴火

1)富士山

熱函道路(函南側)から見た富士山と宝永火口

富士山の噴火は、最近ハザードマップが改定され、それを見ればいいので、ここでは簡単にまとめます。

  • 噴火後すぐに火山灰で覆われ身動き取れなくなる、吸い込んだり目に入っても危険
  • 富士山山頂まで41kmあるので、大きな噴石が飛んできたり、箱根の山を越えて火砕流や火砕サージは来ないと判断
  • 溶岩は小田原のすぐ北、開成や南足柄で止まってくれる予定

ポイントは、広範囲の降灰によるインフラの麻痺で、これがどのくらい続くか?またその後に、宝永の噴火の時のような酒匂川をはじめとする泥流や洪水被害がどの程度になるか?

結構、破滅的な状況に思えます。

2)箱根の噴火

大涌谷売店付近から見た冠ヶ岳の溶岩ドーム
大涌谷から立ち上る湯気、酒匂川報徳橋付近から撮影

箱根も富士山同様、観測や防災関連の検討が進んでいる火山ですが、ハザードマップを見るといくつか疑問があります。

火口の想定

大涌谷の神山周辺しか想定してませんが、早雲地獄とか湯ノ花沢あたりの噴気が出ている辺りは大丈夫なんでしょうか?

水蒸気噴火は予兆を掴むのが難しいと聞きますが、早雲地獄のすぐ下には強羅が、湯ノ花沢のすぐ下には芦ノ湯の温泉街があるので、水蒸気噴火に伴い火砕サージが起きると甚大な被害が出そうです。

我が家からも箱根駒ヶ岳の山腹の湯ノ花沢からの噴気が見えることがありますが、これは自然噴気なのか温泉井戸の湯気なのか?

我が家から見た箱根駒ヶ岳山腹の噴気地帯(本日は平穏)

噴火様式の想定

現状のハザードマップは水蒸気噴火のみを想定してますが、マグマ噴火は起きない?新しい時代にできた山は溶岩ドームを形成する粘性の高い溶岩なので、富士山のように周辺に溶岩が流れ出すことはない?

  • 昭和新山は、何もない平らな場所からいきなり溶岩ドームができています。
  • 洞爺湖周辺の2000年の噴火口は、人が生活する建物のすぐ横にもあります。

箱根の生い立ちも興味がありますが、今後火山としてどうなるのかがとても気になります。

参考文献:箱根山の火山防災と 2015 年噴火(2017 小山真人)

3)その他の火山

被害想定はありませんが、「我が家から噴火の様子が見えそうな、常時観測対象になっている火山」をリストしてみます。

伊豆東部火山群

1989年に起きた手石海丘の海底火山の噴火、テレビ中継で見ました。伊豆東部火山群としては有史以来初めての噴火です。当時はまだ横浜市民だったのですが、よく車で通る国道の目の前の海底から噴火が起きるという衝撃映像でした。

それにしてもあの辺りは、噴火口跡がたくさんあります。

国土地理院(赤色立体図)で伊豆高原付近を見ると、丸い穴(火口跡跡)が多数!

伊豆大島

直近の大きな噴火は1986年のマグマ噴火で、その後も1988〜89年に小規模なマグマ噴火や水蒸気噴火、火山性地震が継続している火山です。

島民の皆さんからすると、「御神火」と呼ぶ神聖な山であり、日本では数少ない「ハワイ島っぽい静かな噴火」なので、通常規模の噴火ならお祭りだそうです。

我が家より伊豆大島を見る(特等席です)

ところが1986年の噴火は、溶岩が火口内で収まらず、カルデラ床の割れ目噴火に続き、カルデラ外で噴火が始まり溶岩流が元町に向けて流れ始めたため、お祭りは一転し島外避難にまで至りました。

この時は、火山の神様がお祭りで飲みすぎてハメを外しすぎてしまった、って感じでしょう。

■結論

やはり話がまとまらず、発散してしまいました。キリがないので強引にまとめると;

  1. 地震の揺れで怪我をしないよう、またその後の籠城に備え室内を生活できる状態に維持できるよう、家具や重量物を確実に固定 →これは入居時から国府津・松田断層対策で対応済みです。
  2. 津波、原発事故並びに火山噴火に備え、1週間程度は自宅内に籠城可能な物資を確保 →食品と燃料は大丈夫ですが、問題は水で、飲料水はなんとかなってもトイレをなんとかしないと。お風呂の残り湯は洗濯で使っているので、浴槽が空っぽのタイミングが多いです。
  3. 安全確保の上、火山噴火を常時記録 →伊豆大島、箱根湯の花沢であれば、ベランダにカメラを設置し、常時観測体制を構築できます。先日間違って購入したアクションカメラなんて、ベランダに設置するには最適ですね。(富士山、大涌谷並びに早雲地獄は明神ヶ岳の影になって見えない)