郵便差出箱1号(丸型)を訪ねて

今回は、市内に点在する円筒形のレトロなポスト=郵便差出箱1号(丸型)を訪ねてみました。

■はじめに

最初は円筒形ポストの「捜索」とか「調査」とかのタイトルにしようと思ったのですが、既に多くの方が調査されていて、全容解明済みであることが分かりました。

円筒形ポストを訪ね旅する方や、GISプラットフォームを構築し地図上に日本中のポスト情報をDB化し、マッピングするサイトもありました。

そんなツワモノの皆さんには到底敵わないので、運動がてらに市内の円筒形ポストをひと回り、自転車でオリエンテーリングしてみました。いくつかここ数年で撤去されてしまったポストもあるので、ツワモノさんにわずかですが最新情報をご提供できれば幸いです。

■ポストの歴史を調べてみた

郵政博物館のWebページ「郵便ポストの移り変わり」に詳しく書かれていますので、詳細はそちらをご覧ください。

今回訪問する鉄製の円筒形ポストは、昭和24(1949)年に実用化された郵便差出箱1号(丸型)というタイプで、昭和45(1970)年に郵便差出箱1号(角型)に代わるまで使われていたタイプです。

ということは、現在市内に残っているものは約50〜70年モノのようです。最近小田原に里帰りしてきた路面電車と比べたら、まだまだ若造ですね。

なお、このポストの一つ先代は、戦時中で鉄を供出する必要があったため、コンクリート製の円筒形ポストだったそうです。流石にこれは市内には残ってないんでしょう。そのまた先代は鉄製で、初代まで遡ると木製です。

郵便差出箱1号(丸型)

■まずは机上調査

市内にあるいくつかは普段から見ているので場所もわかってますが、改めてまとめ直してみると、結構たくさんありました。

このうちのいくつかは、観光用や商店街の装飾目的でどこからか移設されたものと思いますが、当時に設置され令和の時代まで生き残っている「天然物」もまだまだあるようです。

(地図の凡例)赤い郵便局マークが現存する1号丸型、オレンジ色のマークが現存する2号、灰色のマークはここ数年のうちに撤去されてしまったものです。

なんと、すごいデータがネット公開されているのを発見しました。

地図で検索|ポストマップ」にて、ポストの型を「差出箱1号」で検索すると、円筒形ポストの設置位置が地図上に表示されるとともに、ユーザさんが投稿した写真まで見ることができます。Kanatecとしてもうやることは何もありません。あとは運動のために、現地をひと回りするだけです。

地図で検索|ポストマップ」は、アプリ開発会社が作った地図上にポスト関連情報を表示するGIS系のプラットフォームに、ポストマニアの一般ユーザさんが各種情報を投稿してビッグデータコンテンツを公開・共有するサービスのようです。まるでポスト界の「大島てる 物件公示サイト」みたいです。凄すぎます!

■オリエンテーリング開始!

それでは、郵便差出箱を訪ねて小田原市を一周してみましょう。Let’s exercise!

少年院(撤去済み

2019年4月1日に閉鎖され、国内最古・築90年の少年院の建物の解体に伴い、ポストも撤去されています。ネットの情報ではおしゃれ横丁に移設されたとか。少年院を囲む無機質なコンクリートの塀に「壁画」が書かれているのですが、年々色褪せてきました。地震の際の安全上の観点もあるので、最後はこの壁も撤去されるんでしょうね。

Googleストリートビューより(2017年2月時点)
少年院の壁画

おしゃれ横丁

ハンガリーの首都ブダペスト市ツエ・ダウンタウン商工会と姉妹提携しているそうです。ポストの上にある「ドリームタワー」と称する謎のモニュメントが意味不明でとても素敵です。商店街のレトロな雰囲気を盛り上げるため、少年院から撤去された円筒形ポストが移設されたようです。

昭和テイストの商店街に違和感なく溶け込んでます
謎のドリームタワー(下から見る)

大工町通り交差点

この辺りは観光客や買い物客が多く来る場所ではないので、当時からある天然物と思います。この辺りは年々商店が閉店していき、アーケードも順次撤去されています。なぜかこの交差点だけ、アクセルとブレーキを踏み間違えて、歩道に突っ込んでくる自爆型自動車ミサイルが多い今日この頃、歩行者を守るために交差点にコンクリート擁壁が設置されてます。

自動車ミサイルから歩行者を守るコンクリートの擁壁

大手町交差点

江戸時代から、明治時代に省線熱海線(現 東海道線)小田原駅ができるまで、ここが小田原の中心でした。円筒型ポスト以上に、ご近所にある眼科医院の建物がとても素敵。この建物もかなりの歴史的価値があると思います。国道1号線は観光客の往来が多い通りですが、そのほとんどは自動車です。このポストも当時からある天然物かもしれません。

ポスト近くにある眼科医の建物が素敵

なりわい交流館

この施設は、昭和7年に建設された旧網問屋を再整備したものです。小田原の典型的な商家の造りである「出桁(だしげた)造り」という建築方法が用いられています。また、2階正面は出格子窓になっており、昔の旅籠の雰囲気を醸し出しています。内部の意匠も特徴的で、特に2階は、関東震災後に耐震工法として採用された洋小屋の構造を取り入れるなど、当時の小田原の時代背景を感じさせる貴重な建物です。(小田原市HPから丸々転記)

昭和レトロ感を演出

板橋見附交差点

現状の国道1号線から、東海道の旧道が分かれるあたり、ここから西は小田原の城外になります。こちらも、国道1号線は観光客の往来が多い通りですが、そのほとんどは自動車です。このポストも観光用ではなく当時からある天然物と思います。

この先を右折すると旧東海道

早川保育園付近 かのや酒店前

このポストも当時からある天然物と思います。ここに観光用や商店街装飾目的で設置するはずはありません。心配なのは、このお酒屋さんの建物が取り壊しになると、一緒に撤去されそうな「絶滅危惧ポスト」であること。現在営業しているか不明ですが、土曜日の昼前でシャッターは開いてませんでした。
(注:「レトロポスト+廃業?した店舗+隣は更地」の組み合わせ、この組み合わせがこのあと数軒続く)

隣は更地

早川駅

根府川駅と並び、おしゃれでレトロな駅舎に似合う円筒形ポストです。根府川駅の方は、すぐ隣にある郵便局舎が今風の建物に改築されており、ポストも残念ながら今風の四角いものになっています。この駅は、小田原漁港や漁港の駅 TOTOCO小田原へ来られる方の最寄り駅なので、このレトロ感はこのまま残すんでしょうね。

自動販売機との裏側で気づきにくいかも?

鈴廣御食事処

こちらは鈴廣さんが何処かから移転してきたものでしょう。登山鉄道の引退した車両を持ってくる位なので、円筒形ポストの1個や2個はすぐにどこからか持ってこられることでしょう。

明らかに装飾目的、雰囲気にうまく収まりすぎている

小田原市役所

庁舎内に設置されており、開庁時間内でないと見学できません。屋内なので保存状態は最高、ピカピカに磨かれて輝いてます。

正面玄関を入ってすぐ左手にあります。

五百羅漢駅前(撤去済み

青果店の建物の解体に伴い、ポストも撤去され、現在は更地になっています。Googleストリートビューの過去データを遡ってみると、2018年9月時点まではポストと青果店の建物は残ってました。この当時、ポストはピサの斜塔のように傾いていており、相当な重量物のため地震で倒れるとかなり危険な感じでした。
(注:「レトロポスト+廃業した店舗+隣は更地」の組み合わせ)

Googleストリートビューより(2018年9月時点)
Googleストリートビューより(2018年9月時点)

新屋 稲荷神社北

民家の敷地に入り込んでいるようなポストです。周辺の風景に馴染んでいるような、でもなにか違和感があるような、不思議な感じがする佇まいです。本当に取集してくれるんですよね?って感じです

堀の内バス停

廃業した商店らしきお宅の前に設置されています。五百羅漢駅前のポスト同僚、建物と一緒に撤去されてしまいそうな、「絶滅危惧ポスト」かもしれません。Googleストリートビューの過去データを2011年まで遡ってみましたが、既に廃業しているようで、なんのお店だったのか不明です。(「地図で検索|ポストマップ」では「旧・谷河薬局前」と紹介されてます)
(注:「レトロポスト+廃業した店舗+隣は更地」の組み合わせ)

下曽我駅

梅まつり会場の最寄駅で、駅舎も作為的な造作が感じられますので、このポストも観光客向けの装飾品扱いかも?駅からちょっと離れると昔の街並みも残っているエリアので、他に円筒形ポストがありそうな気もします。

梅まつりの最寄駅

ダイナシティウェスト

これは間違いなく買い物客向けの装飾品でしょうね。もしかするとショッピングセンターを作る際に撤去されたポストを再利用しているのかもしれません。この場所は1953年に建設された大同毛織の工場跡になります。

■円筒形ポストより、もっと深刻な絶滅危惧ポスト「郵便差出箱2号」

小田原市内 郵便差出箱2号設置場所(❌は撤去済み)

円筒形ポスト(郵便差出箱1号丸型)より2年新しい型の「郵便差出箱2号(昭和25年より使用)」は、前述の「地図で検索|ポストマップ」では小田原市内に4つマッピングされてますが、2021年12月時点では2個しか現存していません。

郵便差出箱2号は、個人商店などの壁に設置された小さな箱型ポストで、ほぼ個人宅の郵便受けのような外観のため、観光や商店街の装飾品への転用には向かず、建物の解体に伴い順次撤去・廃棄されているのかもしれません。

郵便局の取集担当の方と設置されたお宅の方以外で、このポストが公共物と認識できる人がどれだけいるのか。。。Kanatec自身、このポストがあっても郵便物を投函する勇気はありません。

郵便差出箱2号

南町 入江たばこ店前

地図で検索|ポストマップ」にはタバコ店と書いてあったのですが、店舗だった感じはしません。ところがGoogleストリートビューで見ると、入り口のガラス戸にKENTポスターが貼ってある。郵便差出箱2号の保存状態は、海の近くの割にかなり良好なので、まだしばらく現役続行可能と思います。
(注:「レトロポスト+廃業した店舗+隣は更地?」の組み合わせ)

中曽根 竹井商店

この一角だけ数10年間時間が止まっている感じです。路地の左側は同じ作りをした飲食店か店舗らしき建物が4件並んでます。竹井商店は、看板や庇が朽ちかけ、自動販売機のみ稼働中。なんと1997年に廃止された「塩専売」のホーロー看板が普通に掲げられてました。
肝心の郵便差出箱2号は、天板の塗料は剥がれ、かなり錆が目立ちます。投函された郵便物が水濡れするのはまずいので、穴が開いたら引退かもしれません。あと何年この姿を見ることができるか?

上曽我 川久保商店(撤去済み

上曽我の県道72号線から東に入った路地に、2015年頃まで設置されていたようですが、既にこの建物もポストもありません。それにしてもGoogleストリートビューに偶然映り込んだ飛行物体はなんだろう?電線より下を飛んでいるのは間違いないが、蛾にしては大きすぎる感じがする。鳥にしては羽の形も違い触角があるようにも見える。
(注:「レトロポスト+廃業した店舗+隣は更地」の組み合わせ)

2015年8月(Googleストリートビューより)
拡大:UMAが映り込んでいる!蛾にしては大きぎる。

風祭 高崎商店前(撤去済み

旧街道沿いに2009年頃まで設置されていたようです。建物は現存してますが、ポストは撤去されたようです。
それにしても、Googleストリートビューのタイムマシーン機能は便利ですね。過去画像を削除せず、遠い将来に何100年も遡れたら、未来ののび太くんも大喜びです。

2009年11月(Googleストリートビューより)

■まとめ

今後も定期的に観察する・・・気は全くありませんが、市内に2個残存する郵便差出箱2号の行く末は気になりました。

今回は「地図で検索|ポストマップ」の情報をベースに現地確認し、いくつかここ数年で撤去されてしまったことが確認できました。しかしながら、このポストは装飾品的なニーズがあるので、撤去後どこかに移設されている可能性があります。

気になったのは、「地図で検索|ポストマップ」に掲載されてないポストはないんでしょうか?日本郵便さんは日本国内のポストの設置状況は完全に把握されているはずなので、これが元データになっているなら、漏れることはないでしょうね。