変電所入門

架空送電線入門」から先の展開がなかなか決まらないので、とりあえず足柄平野の変電所を中心に、ついでにいくつか架空送電線も追加で調査しつつ、体脂肪を燃焼。

正式には、発電所に接続されるものや変電所間に設置されるのを変電所・・・と呼び、エンドユーザである企業や家庭などの需要家に接続されるのを配電所と呼ぶそうです。ここでは全部まとめて変電所と称してます。

今回は東京電力パワーグリッドの変電所をまとめてみましたが、このほかに鉄道会社の保有する変電所もありますので、これは次の機会にまとめたいと思います。(多分、冬休みの自由研究?)

それと、変電所巡りの途中で気になった、架空送電線設備もいくつか記録していきましょう。

西相模変電所
JR東海の変電所、右奥の建屋には周波数変換器があるらしい
東電の変電所の受電部分

地域最大クラスの変電所で、東京電力の技術資料「空容量マッピング(神奈川版)」によると、静岡県小山町にある「新富士変電所」から西相模線(1導体 154kV 2回線)と明神線(2導体 154kV 2回線)の2ルートから電力供給を受けています。(導体数、電圧並びに回線数の情報は塔マップZEROを参照)

この西相模変電所には、東海旅客鉄道株式会社 西相模変電所が隣接しており、東電側から受けた電力を自身の送電網に電圧や周波数変換の上で接続しています。

三枚橋変電所

三枚橋の水力発電所の東側に隣接しています。

一次側は「塔之沢線(1導体 66kV 2回線)」に接続されています。右の写真正面に見える鉄塔は「三枚橋1」なので、三枚橋水力発電所の出力系統と思われます。

早川変電所

建物の工事をしてました。こちらの変電所は、看板を見ないと何の施設かわからない感じで、触ると危ない感じの電気設備もなく、住宅街に溶け込んでます。付近に鉄塔はないので、一次側は地中ケーブルで給電されている模様です。

早川7鉄塔
地中ケーブルへ引き込み

以下推論です。

早川の一夜城通りにある鉄塔早川7、南側の石垣山から架空送電線が降りてくる。北側には架空送電線はなく地上に引き込まれている。南側の鉄塔は早川6なので、送電の流れは南の山から降りて来て、ここから地中送電に入る方向。また、一般に系統名は接続先の名称とのことなので、これが早川変電所に地下の送電ケーブルで接続されている?

この推論に対し、1984年の地図を見ると、早川7の北側にも架空送電線が延びているように書かれている。この方向だと早川変電所には繋がらない。

さてどうなんでしょう?

多古変電所

触れると絶対に危険な電気設備が露出している「威圧感たっぷりのよく見るタイプの変電所」です。規模的にも足柄平野では西相模変電所に次ぐ規模の変電所です。

北側の久野の高台から「穴部線(番号なし(1導体 ?kV 2回線)」の鉄塔が繋がってます。

新玉変電所

早川変電所と同じ雰囲気の住宅街にある変電所です。この場所は総構ゾーン内なので、戦国時代から街が栄えていたあたりです。

我が家からの距離が一番近い変電所がこちらですが、ここから電気が来ているかは不明です。

付近に鉄塔はないので、一次側は地中ケーブルで給電されている模様です。

[2023.01.21追記]

新玉変電所前の道路には、小田原市のマークがついた上下水道のマンホール、NTTのマークのついた電話線などのマンホールのほかに、東京電力TEPCOマークのマンホールがありました。

これが地中送電線の管路もしくは洞道と思われます。

足柄変電所

道路の奥の住宅街にあるので、ご近所にこの変電所があるのを知りませんでした。(もちろん住宅ができた方が後でしょうけど)

我が家からの距離は2番目の近さです。なお我が家は足柄地区と呼ばれるエリアなので、もしかするとこちらに繋がっているのかも?2011年の計画停電の際のグループ・サブグループを読み解けばわかるかもしれません。

一次側は「足柄線 29鉄塔(1導体 66kV 2回線)」に接続しています。

国府津変電所

国府津変電所という名称(注1)ですが、イトーヨーカドーの東側にあります。結構規模は大きめです。この付近の鉄塔は、印刷局やクボタへの専用線分岐の起点であり、昔はダイドー毛織や日立など工場がいくつかあったエリアなので、小田原東部の中心的な変電所かもしれません。現在も高田には、浄水場や大きな工場がいくつかあります。

注1:現在の小田原市国府津は、巡礼街道沿いでいうと、ギリギリ頑張ってダイエットクックまで。スーパービバホーム(小八幡)やダイハツのディーラー(前川)は国府津ではない。変電所設置時点での国府津の陣地は調べないとわからないので、一旦保留。

一次側は、小田原線(1導体 66kV 2回線)の西湘線 30/小田原線 15鉄塔から分岐し、鉄塔2本に分かれて変電所内に引き込まれている。

中堀変電所(小田原市)

看板がないと変電所とはわからない施設であり、ネロンガやテロの攻撃を避けるため「住宅街に偽装したタイプの変電所」。何とGoogleMaps、国土地理院地図並びにMapFanにもこの変電所は書かれてない秘密の場所にあります。

知らずにこの建物を最初に見たときは、非常に地味な外壁と特徴ある窓枠のためか、最近あちこちに増えている葬祭関連の施設?と思いました。

周辺には鉄塔は建ってないので、一次側は地中送電線で接続されているよう。(飯泉にある学校給食センタ東側の「中堀7」鉄塔から地中ケーブルになっていると推察)

学校給食センタ東側「中堀7」鉄塔
地中ケーブルへ接続
金子変電所(大井町)

高圧鉄塔があって、触れると絶対に危険な電気設備が露出している「威圧感たっぷりのよく見るタイプの変電所」です。規模的にも多古の変電所より若干小さい感じなので、地域の中心的な変電所なのかもしれません。

一次側は、写真奥のビオトピア山を超えてくる「金子線(1導体 66kV 2回線)」で接続されています。

竹松変電所(南足柄市)
中堀変電所と同じ外観の建屋
電源ケーブルが埋まっているとの警告表示、肝心な朱記文字が褪色して読めない。

壁の建材や窓枠とも、中堀変電所と同じく敵からの攻撃を避けるため「住宅街に偽装したタイプの変電所」です。一次側は変電所のすぐ北側にある大雄線20(1導体 66kV 2回線)/南足柄線20(1導体 66kV 2回線)鉄塔から地中ケーブルとなり、変電所敷地内の電柱を介して地上に引き出されているようです。

大雄線/南足柄線鉄塔、下の2回線を地中へ引き込み
変電所にある電柱(逆光補正)
岩原変電所(南足柄市)

こちらは住宅街のど真ん中に、鉄塔と「威圧感たっぷりのよく見るタイプの変電所」が建っています。こちらも元々は田んぼか畑の中に鉄塔と変電所があった場所に、その後住宅が建って周りを囲まれてしまったんでしょう。

一次側は路地を挟んで東側にある大雄線11(1導体 66kV 2回線)/南足柄線11(1導体 66kV 2回線)の鉄塔から地中ケーブルに引き下ろし、接続している模様。

大雄線11鉄塔
地中に引き下ろしている

■企業への引き込み線(企業の変電設備)

花王 小田原事業所
鉄塔名称部分を画像処理

Amazon東側で足柄線から分岐し、花王小田原工場に引き込まれています。鉄塔名称が白ペンキで修正してあり、「鐘紡小田原線」では?と思いましたが、「花王小田原線」のようです。ということは、この鉄塔は比較的新しいのか、名称を2回変えたのか?(カネボウ化粧品が花王グループになったのは2006年)

明治ゴム化成
日本製紙 クレシア 開成工場
ゴール(クレシア)の鉄塔16まであと2本

クレシア開成線は、栢山の二宮尊徳 油菜栽培地跡付近で、明菓足柄線(Meiji Seika ファルマへの送電線)から分岐し、開成町吉田島のクレシアまで引かれています。

前述の明治ゴム化成線もここから分岐してますが、4回線の容量を持った送電線です。GoogleMapsで追ってみると、どうも新松田駅南側に繋がっているような感じ。(要確認)

明菓足柄線

現在のMeiji Seika ファルマ 足柄研究所への専用線です。回線名称からして、昔は製薬会社ではなくお菓子工場?何を作っていたか気になります。

■その他気づき事項

携帯電話基地局との併用鉄塔
JRの送電鉄塔

JR東日本の「二宮-湯河原線」です。これとは別に、JR東海の送電線もあります。JR東海だと77kV/60Hzなので、東電の送電網とは電圧も周波数も異なるため、岩原の変電所で電圧と周波数を変換していると思われます。

桑原から大友にかけての鉄塔のみに「頭上電線注意」の警告が書かれてます。この辺は農地で、この高さまでクレーン等を上げるとは思えないので、凧揚げ対策と思われます。

電線や線路の近くでの凧揚げはやめよう!

■まとめ

狩川右岸の土手(穴部新田付近)にて、南方向(多古、寿町方面)を眺めた様子です。やはり高圧鉄塔が多い気がしますが。。。これを見ると、都会では送電線を地中化しなければ、鉄塔設置の土地や送電線ルートのクリアランスが確保困難なのがよくわかります。

今回の経験値として、写真中央の赤白鉄塔のすぐ下がバッティング センター 金太郎だってわかるようになりました。(下水処理所かな??)

(一旦終わり)