小田原周辺の謎(18) 大井町

足柄平野の地味な自治体「大井町」について勉強してみます。

西半分が平野、東半分が山林と丘陵地
  • 人口 :17,313人 (2023年9月末日現在)
    平成14年に17,000人を超えたあたりから横ばいの様子
    Ref. 令和4年度統計要覧 3章 人口
  • 読み方 :おおいまち
    品川区にあるJR大井町駅と読み方が一緒なので、泥酔してタクシーに乗る際は要注意
  • 名産品 :ひょうたん、地酒(曽我の誉の石井醸造、箱根山の井上酒造
  • 交通 :自動車交通的には便利そう
    東名高速大井松田ICは大井町にあるが、インター近くによくある大型物流倉庫はない
    南北に走る国道255と県道711号(小田原松田)通称「酒匂縦貫道路」が幹線、国道255と県道711を繋ぐ都市計画道路金子開成和田河原線(町道9号線)を絶賛建設中
    御殿場線の上大井駅と相模金子駅あり、小田急は町の西〜北縁スレスレを通過

▪️自治体の境界線

  • 東側: 秦野市と中井町に接する
    山間部で特徴なさそうなので割愛
  • 南側 :小田原市と接する
    県道72号線の石井酒造近く菊川が小田原市との境
    国道255線の(旧)かっぱ寿司付近が小田原市との境、(町丁名)上大井は大井町〜(町丁名)下大井は小田原市
    酒匂縦貫道では鬼柳交差点付近が小田原市との境、(町丁名)西大井は大井町
  • 西側 :酒匂川が開成町との境
  • 北側 :松田町と秦野市に接する
    川音川が松田町との境かと思ったらそうでもない
    松田町総領(=本家の跡取りの方)が川音川南岸地区300mほどまで侵攻している
なぜ川音川が松田町との境でないんだろう?

地図を詳細に眺めてみると、住宅地の路地が町境になっている場所や、宅地を町境が横切っている場所が混在し、地形的な特徴はない。

  • 川音川が酒匂川に合流する地点は「三角土手、三角堤」と呼ばれる江戸時代からの治水工事の要衝なので、町境が定められた頃の昔の川音川の流れは今より南側だったのか?
  • 松田町総領(=本家の跡取りの方)が自身の領地拡大のため、川音川南岸地区に侵攻し占領したのか?
    または、三角土手の建設に功績のあった松田惣領の住民に、ご褒美として南岸地区の土地が与えられた?
    (三角土手ができるまでは、この辺りは氾濫域で農地に使えなかった?)

なぜだろう?

赤い点線が町境
Ref. 歴史的農業環境閲覧システム(明治初期から中期ころ)

明治初期〜中期の地図を見ると、川音川の南側に川又は水路がある模様。この周辺は「田」と書いてあるので田んぼ。この田んぼの持ち主が松田町総領(=本家の跡取りの方)の住民だったのかも?

▪️(町丁名)わかもととひかりの里

Ref. 大井町Webより

人口に関するデータを調べていたらわかもとという人口0人の町丁と、ひかりの里という人口1名の町丁を見つけました。

「ひかりの里」には高齢者福祉施設があるので、そこに居住し住民票を移した方でしょう。

「わかもと」は絶対あれですよね?

強力わかもと

消化酵素、乳酸菌、ビール酵母の3つの天然成分が、胃もたれ、便秘、滋養強壮に効く昔からある薬。本社や支社は全国にありますが、ここが唯一の工場と研究所。強力わかもとは大井町製だったのです。

▪️扇状地

田んぼが段々となって手前が低くなっている
家の塀の基礎部分を見ると道路の傾斜がわかる
国土地理院の地図より

川音川が足柄平野に出る辺りからひょうたん池や菖蒲園方面に向かって断面を切ってみると、15‰くらいの一定した傾斜があります。傾斜に沿って田んぼができるいるようで、それに合わせて古くからある道路も放射状に広がっているように見えます。見事な扇状地です。

町のど真ん中に活断層あり、扇状地ありで、地学の教材のような土地です。扇状地の末端には湧水によるひょうたん池やせせらぎの郷花菖蒲園があります。

ひょうたん池
Ref. 大井町Webより

▪️御殿場線の駅 昔と今

上大井駅
2006年撮影
2023年撮影

この16年間で間違い探しクイズレベルに変化がない。

留萌本線の増毛駅の廃止後、一時期「髪多い駅」としてブームになったこともある。先日、祈念のため入場券を買いに行ったところ無人駅で券売機も設置されてないことが判明、残念!

相模金子駅
2006年撮影
2023年撮影

ホームに向かう登山道のような階段が綺麗に改装されていた。待合室のような小さな小屋も若干だがグレードアップしている。文句なしの無人駅。

電車のダイヤは通勤通学の時間帯で上り下りとも1時間に2本、それ以外の時間帯は1時間に1本。何と終電は23時代まであるし、最寄りのコンビニまで450mほど。案外便利かもしれない。

▪️スベリー・マーキュリー・杉田

映画「ボヘミアン・ラプソディー」の前からこのスタイル、本物ですね、素敵です。

Kanatec的にも”指向性”は別にして、フレディーが最高のロック・ボーカリストだと思っており、何となくそんな心配の通り早く亡くなってしまい、とても残念に思っています。

このスベリーさんのように、フレディーが短髪になって口髭をはやし、胸毛を出してピチピチの衣装を着るようになり、お尻を突き出す振り付けを見て、「やはり・・・」でした。でもボーカルは世界最高。

こちらのスベリーさんは南足柄市出身で小田原高校卒業、2016年に大井町の「笑顔特派員」に任命され活動されています。

2022年5月にはおおい中央公園のオープニングイベント「みんなでつくるスベリーフェスティバル」の企画からメインキャストを務める等大活躍。

箱根山と曽我の誉の前掛け、欲しい。。。

▪️都市計画道路金子開成和田河原線(町道9号線)

国道255と県道711号酒匂縦貫道路を繋ぐ都市計画道路で、現在建設が進んでいます。この道路ができると開成町民が国道255線へ出るのが便利になります。

それほど効果はなさそうなんですが、地元民の皆さん、どうなんでしょう?

大井小学校北側より西側(せせらぎの里西交差点)を望む
東側(御殿場線)を望む

さて、御殿場線はどうやって越えるのか?最大で1時間に上下4本なので、平面交差の踏切でも良さそうですが。。。

アンダーパスで線路を越えるようです。

▪️酒匂堰

足柄大橋の東側にある記念碑
大井町役場に保存される取水口の遺構

酒匂堰は、現在は南足柄市にある福沢第二発電所の放流水の一部を取水し、2カ所のサイホンで酒匂川と川音川を潜り、大井町内を南下していきます。(酒匂堰に関するレポートはこちら

写真は開削当初(慶長年間 1596~1615)の取水点で場所は足柄大橋の東付近、取水口の遺構が大井町役場構内に保存されてます。

(これ以上のネタがなさそうなので、とりあえず一旦おわり)