日本曹達小田原研究所の「炭素14」

I read the news today, oh boy ・・・名曲ですね。

今日、ご近所の気になるニュースを読みました、お〜少年

小田原市高田にある日本曹達 小田原研究所、とても大きな事業所。
  • 2023.2.7 :日本曹達 小田原研究所において貯蔵している放射性同位体化合物 「炭素14」261.95 MBqの所在不明が判明
    (個人の感想)2/7に所在不明が分かって、2/8にニュースリリースってのは早すぎ?事前に関係各所と入念な調整をしていたと予想します
  • 貯蔵場所に立ち入るためには 3 重のセキュリティがあり、鍵が壊されているといった状況もないことから、盗難の可能性は低いと判断
    (個人の感想)アクセス可能な社員による悪意を持った持ち出しか、管理帳簿への記載ミス?
    「3重のセキュリティー」と言っても、
    1)工場の正門で守衛さんによるIDカードチェック
    2)それぞれの建物や部屋に入る際に、IDカードでの電子ロック解除
    3)鍵付きキャビネットの中に保管
    くらいなら、特に厳重ってほどでもない。最後の3)鍵付きキャビネットが、もし電子キーでないと開閉のログが残らないので調査困難。
    なお、会社的には「帳簿の記載ミスであり、紛失はしていない」で収めたいことでしょう。
  • 2023.2.7 :原子力規制委員会に報告を行うとともに、同日小田原警察署に状況報告を行う
    (個人の感想)「正式に報告したのが2/7」ということで、事前に関係各所と入念な調整がなされたことでしょう。
  • 本件による環境への影響および人体への影響はないと判断
    (個人の感想)そうなら安心ですけど。。。でも全く影響ないなら、管理対象物質にならないような。。。
    例えば職場の給湯室の共用のポットに入れられても、人体への影響はない?炭素だと体の組織に取り込まれてしまい、内部被曝しそう。お隣は小田原市の水道局ですけど大丈夫?
北隣は浄水場

以上は、日本曹達の公式発表と、それに対するKanatecの個人の感想になります。Kanatec的には、日本曹達のリス・コミ対応の観点で、引き続き注目したいと思います。

■261.95 MBqとは

  • 国際基準であるCODEXでは、一般食品の放射性セシウムの基準値は、1,000Bq/kg
  • 100Bq/kg は「国内における放射性セシウムに関する食料品の基準」、 8,000Bq/kg は「廃棄物を安全に処理するため基準」(環境省)
  • 261.95 MBqとは、261,950,000ベクレルですが、今回紛失したものに関しては、重量に関する情報が非公開なので、基準値との比較はなんとも言えない。(そもそも、セシウムの基準が炭素に適用されるのか?)

■炭素14って何?

  • 炭素の大部分(98.9%)を占める炭素12の放射性同位体
  • 半減期は5,730年で、ベータ崩壊をして窒素14になる
  • 一般に年代測定やトレーサーに使用される

ポイントは「ベータ崩壊」で、放射線としてベータ線(電子)と反電子ニュートリノを放出しながら崩壊する・・・ってことのようです。

ちなみにオーストラリアで紛失騒ぎがあった放射性物質はセシウム137で、30.1年の半減期を持ちベータ崩壊してバリウムになるそうです。1 gのセシウム137の放射能は 3.215 TBqですが、「えんどう豆サイズ」としか情報がないので単純比較できません。

どこかのワイドショーのコメンテーターのように、素人が知ったかぶりしてはいけない領域のようですが、ベータ線(電子)なら「アルミ等の薄い金属板で遮蔽可能」くらいの知識は持ってます。

■(基礎)基本のお勉強

  • Bq(ベクレル)とは、放射能の量を表す単位で、1秒間に1個の原子核が崩壊する量を1Bqとする。
  • Sv(シーベルト)とは、人が受ける被ばく線量の単位で、放射線を受ける側(人体)に対して用いられます。

電球の明るさを示すW(ワット)と照らされるある場所の明るさを示すlx(ルックス)、地震の規模を示すM(マグネチュード)とある場所の揺れの強さを示す震度の関係イメージと似ている。

■(余談)ピロリ菌の検査

Kanatecは、昨年人生初の「胃カメラ」にて慢性胃炎の指摘を受け、検査を受けたところ、ピロリ菌のピーちゃん(仮名)を飼っていたことが判明しました。

一般的にピロリ菌の感染は子供の頃の衛生環境によるとのことなので、ピーちゃんとは50年以上のお付き合いと思われます。50年以上も同じ釜の飯を食ったピーちゃんには大変申し訳ないのですが、お別れをすることになりました。

そんなことはどうでも良いのですが、ピロリ菌の検査の際に「炭素13」入りの尿素剤を2回も服用してますが、「炭素13」は放射活性を持たない安定同位元素であり、今回の「炭素14」とは違うみたいです。知ったかぶりしなくてよかった。

■今後の行方

日本曹達のニュースリリースをに注目し、事実確認並びに、同社のリスクマネジメント(リスク・コミュニケーション)の対応を参照させていただきたいと思います。

2023.02.12(日)

2/11の祭日を挟んだためか、2/8のニュースリリース第1報以降の続報が出てきません。
事業所周辺でも、従業員総出で周辺を検索している雰囲気はありませんが、正門は解放され守衛さんは勤務されてましたので、普段の日曜日とは何か違うのかも?

2023.02.15(水)

2/8のニュースリリース第1報から1週間、新たな情報はありません。「本件による環境への影響および人体への影響はな」との判断に基づき、もう終わりなのか?それとも裏で関係各所で調整中なのか?もうしばらく様子見しましょう。ところが!

読売新聞オンライン(2/15)にて、

  • 2/7 放射性物質「炭素14」が入った瓶3本を紛失したと規制委に報告
    (個人の感想)「瓶」ということなので、一般的な試薬瓶とすると数10〜数100mℓ程度か?今回の記事も、紛失した量に関する情報が書かれていない。
  • うち1本は所内の放射線管理区域内で発見
    (個人の感想)最も好ましい結果として想定の範囲内の結果ですが、最初に探した際に有無はすぐにわかりそうな気がしますけど。。。
  • 2本は廃棄済みだったことが判明
    (個人の感想)どこに廃棄?下水に廃棄?処理業者に委託した?「不要物として、適切な方法で廃棄処分した」って言いたいんですよね?新聞記事はちゃんと書かないと、廃棄が適切なのか不適切なのかよくわかりません。
  • 放射性物質の管理簿に記入漏れがあった可能性がある
    (個人の感想)管理簿と現品の数量が合わないため事故扱いなっているので、「可能性がある」ではなく、記入不備があったのは必至でしょう。

それにしても、日本曹達や原子力規制委員会のWebでは、2/15 19:45時点で未発表です。明日2/16にも再確認してみましょう。

2023.02.16(木)

日本曹達から第2報(最終報)が出てました。

  • 放射性同位体化合物の紛失はなかったことが確認

所在不明の3化合物のうち

  • 2 化合物は管理帳簿への記載忘れ (全量廃棄済みまたは使用済み)、1 化合物は指定保管場所とは異なる場所で 保管されていることが判明
    (個人の感想)管理が不適切であったことは認めた模様。
  • フィルムバッチを用いて業務従事者の 外部被ばく線量を測定しており、全ての業務従事者について検出限界未満
    (個人の感想)管理区域の外に出てしまっていたら、従業員以外にも影響が及ぶ恐れ。
  • 毎月実施している空気中の放射性同位元素の濃度測定においても、法に定められた空気中濃度限度の 1/10 未満
    (個人の感想)管理区域内の話?許容値の1/10というのは通常の環境的にどうなの?

対応について

  • 帳簿の記録方法と在庫品の確認方法を見直す
    (個人の感想)模範的な対策です。
  • 社員への再教育を行う
    (個人の感想)模範的な対策です。

以上、無事で理想的な形で決着したようです。良かったですね。(おわり)