深刻な課題である体型改善を目的に、2019年4月にビックカメラ新横浜で購入した電動自転車 YAMAHA PAS Brace号のC整備実施をダラダラ先送り中でしたが、ドック(=ベランダともいう)での野菜栽培と夏の猛暑が終わり、やっと実施する気になりました。(Ref. 前回の記事)
- 作業実施日 :2023.10.08〜14(ブレーキ調整と試運転が1日では終わらず、翌週末に作業延長)
- 走行距離 :3,476km
- 購入より4.5年(このうち2020年4月より1年近くは”外出自粛”でほとんど乗ってない)
▪️タイヤ及びチューブ交換
作業メモ
フロントホイールはクイックリリース式なので着脱は簡単。回転方向指定に注意してタイヤとチューブを交換。
当初はチューブは交換しないつもりでしたが、タイヤ組み替えと一緒に交換した方が手間もかからず、安全第一で一式交換としました。一般にタイヤチューブの交換時期は3,000〜5,000km/2〜3年程度と言われるのでちょうどいい時期でした。
- タイヤ :パナレーサー(Panaracer) クリンチャー タイヤ [26×1.50] ロードランナー 8H265-RR-B ブラック (ツーリング車 マウンテンバイク/ツーリング ロングライド用)
- チューブ :パナレーサー(Panaracer) 日本製 チューブ [H/E 26×1.50] 英式バルブ 0TH26-15E-NP
- リムテープ :(シュワルベ) SCHWALBE HPリムテープ FB25-559 2本袋入 SW-10870105W ブルー 26″/25mm幅
- ビートクリーム :DRC(ディーアールシー) ビードクリーム 40g スポンジ付属
- スーパーバルブ :手持ちストック
今回初めて自転車タイヤ交換にビートクリームを使ったのですが、タイヤをリムにはめるのがとても楽。無理な作業がないのでチューブをビートに噛み込む心配も少なそう。従来は中性洗剤薄め液を使ってましたが、水分の影響でサビの原因になるらしく、ビートクリームに交換して大正解。
軽めに空気を入れ、タイヤ全体をモミモミ&グニグニしながらチューブとタイヤをリムに馴染ませ、規定値まで空気充填。ビートクリームの効果で均等にビートをリムにセットしやすい感じ。
課題
リアホイールはボルト式固定でいろんなパーツがついており、取り付け順番や向きを間違わないよう注意。一番の課題は内装8段変速機の着脱。可能な限り元の状態を写真記録してから作業開始します。
最初にペダル側のギアからチェーンを落として緩め、リアホイールのボルトを外し、付いていた順番通りにパーツを並べて組み立て時に備えます。
初体験の内装8段変速機のカムの取り外し。カムの一番外側に「LOCK→」と書かれたロック用リングがあるのでこれを矢印と逆方向に回すとホイールからカムを分離できて、これでホールが完全にフリーになります。
(この時点で手が汚れてしまい写真記録は中断。ここまで来ればタイヤ交換は前輪と同じ。)
初体験の続きはカムの組み戻し、老眼鏡を掛けよく観察すると;
- ホイールの変速カムの取り付け部分に赤いマーキング
- カムの内側のリングに赤いマーキング
- カムの外側のリングに赤いマーキング
この3つの赤いマーキングの位置を揃えてカムをホイールの変速機側に取り付ける、きっちり収まった感じ!(ただしまだ固定されてない状態)
- カムの外側のリングに黄色いマーキング
- ロック用リングに黄色いマーキング
この2つの黄色いマーキングの位置を揃え、ロックリングを「LOCK→」方向に回せば元通り!
ポイントは、2色のマーキングの位置合わせと、ロックリングの「LOCK→」回転方向がわかればOKです。
これで内装8段のリアホイールの着脱手順をマスターできました。重要箇所なのでトルクレンチを使い35 N·mでナットを締めて完了。(規定締め付けトルク 30〜50 N·m)
◾️リア Vブレーキシューの交換
重要保安部品であるブレーキシューとワイヤーを交換します。
- ブレーキシュー :シマノ(SHIMANO) リペアパーツ M70T4 ブレーキシューセット(左右ペア) BR-MX70 Y8BM9803A →(変更)TEKTRO 836.12
- ブレーキワイヤ :ブレーキインナーワイヤー φ1.5mm(2本組)
問題発生!?
元のブレーキシューを外してみたところ、残りの溝の深さが1mm少々、片方のシューが若干偏摩耗ありという状態なので、ちょうど交換時期のようです。
現品確認によりシューの純正品型式はS65T(シマノ)、新たに購入したものはシマノMT70T4、念のため型式比較してみたところ。。。
元のブレーキシュー
サイクルベースあさひWebの商品紹介によると、
- カートリッジシュー ×
- Mシステム ×
って書いてあります。
新たに購入したブレーキシュー
Amazonの商品紹介をよく読むと、
- カートリッジシュー ×
- Mシステム 〇
って書いてあります。こちらの方がシューの長さが長い他は、見た目は何も変わらない感じですけど。。。
ちゃんと調べてみたところ;
- カードリッジシュー :ロードバイク用のシューの部分だけ交換可能なタイプ。…これは違いそう。
- Mシステム :ウェットな状況下でも、常に高い制動力とコントロール性を発揮するブレーキシステム。ウェットなコンディションに強いマルチコンディションシューを採用。…これはシューの特性の話で、Vブレーキシューの互換性の話ではない。
元々のパーツ(S65T)はそのどちらでもなく、新たに購入したパーツ(M70T4)はMシステム用らしいが、互換性があるのか無いのか不明。「困った時のサイクルベースあさひ」に相談してみましょう。
結論
店員さんに聞いても「Mシステム用のブレーキシューとの互換性」というのがよく分かりません。命に関わる部分なので1000円程度の部品代の互換性を心配するのは避けたい。
サイクルベースあさひには「シマノ S65T」の在庫がなかったので互換性のあるものを店員さんに選んでもらいました。そもそもVブレーキ用のシューなんてみんな形は同じ(ただし性能はピンキリ)なので、シマノを選んでおけば間違い無いはずなんですけど。。。で、Mシステム対応のパーツ(M70T4)はウェット性能が高いだけ?
Mシステム対応のパーツ(M70T4)が余ってしまったので、ストックとして保管しておきます。
ボルト類の締め付けトルクは以下の通りなのですが、このレンジのトルクレンチを持ってないので「感覚でギュッ!」と締めておきます。
- シューの固定ボルトの規定締め付けトルク 5〜8 N·m
- ブレーキインナーワイヤーの固定ボルトの規定締め付けトルク 5〜7 N·m
▪️フロント ディスクブレーキパッドの交換
購入した当時からフロントブレーキの効きが悪く、結果としてロックしやすいリアブレーキ重視になり、制動距離が伸びてタイヤがすり減る…という状況だったので、こちらも初挑戦のディスクブレーキのパッド交換に挑戦してみました。
- ブレーキパッド :シマノ ディスクブレーキパッド B05S レジン
- ブレーキワイヤ :ブレーキインナーワイヤー φ1.5mm(2本組)
ブレーキはベーシックなディスクブレーキシステムである機械式の片押しタイプです。
フロントホイールが外れた状態でのパッド交換はとても簡単、割りピンを抜いてパッドとバネを交換しパッド付属の新品の割りピンに交換するだけ。
割りピンは繰り返し曲げ伸ばしすると折れやすいので、ケチらず新品交換するのはバイク整備時代からお約束です。数10円の部品をケチって大事な部品が走行中に緩んだり外れたりしたら大変です。
写真左側がキャリパー側(=可動する外側)、写真右側が固定された内側です。
写真だと分かりにくいのですが、左側のパッドの一部=実際の取り付け状態だと上側だけ、他の部分の半分の厚み位まで偏摩耗しています。(目測でパッド全体は2mm弱で新品とさほど変わらず、偏摩耗箇所はその半分程度)
これがブレーキの効きの悪さの原因のよう。
おまけのメモ
フロントブレーキのインナーワイヤーを交換している最中に、パワーモジュレータが外れてしまいました。BLとBRと書いてあり、BLはブレーキレバーと思われますがBRってなんでしょう?
シマノの資料によるとVブレーキ側の事のようですが、何の略でしょう?ブレーキラバー?
ディスクブレーキの調整
ディスクブレーキは「機械式の片押し」なので、センター出しをしないとダメとのこと。初めからセンター出しができてなかったのか、初期の緩み等でズレたのか?
バイク時の油圧ディスクブレーキは、ブレーキフルードの量とディスクパッドの残量をチェックすれば間隔調整自体は不要なので、これと同じだと思っていた。知識不足を反省!
シマノ公式のディーラーマニュアルの調整方法を参照しながら作業を進めます。
【キャリパー固定位置の再調整】
パッド交換しており、交換前に全く調整ができてないので、キャリパー取り付け位置の調整から行います。
- (写真1)のキャリパー固定ボルト(2本)を緩める(緩めるだけで外さない!)
- インナーケーブルを通し、アームが初期位置の状態でケーブル取付けボルトを締付け
- ブレーキパッドがディスクブレーキローターをしっかりと挟むまでブレーキレバーを握り込む
その状態で2本のブレーキキャリパー取付けボルトBを交互に少しずつ締付ける
※この作業により、キャリパーはディスクブレーキローターに対して平行に取付けられる(①パッドの偏摩耗の原因を解消)
※この状態では車輪内側のパッドのクリアランスはない状態 - パッド調整ねじを反時計回りに1~ 2クリック緩め、②内側(車輪側)ブレーキパッド とローターのクリアランスを適正化
- ブレーキレバーをグリップにつくまで約10回ほど握り、各部に異常がないことと、車輪を回転させてディ スクブレーキローターとブレーキパッドの干渉がないことを確認
【ブレーキパッド摩耗時の調整】(パッドのクリアランスの調整)
ディスクブレーキローターとブレー キパッドのクリアランスが0.2〜0.5mmの範囲で車輪側=車体外側になるように調整します。
- 車輪内側は(写真2)のパッド調整ネジを回して調整(この作業は前項で完了)
- ③外側(可動側)ブレーキパッド とローターのクリアランスを適正化
普段の点検ではこの【ブレーキパッド摩耗時の調整】のみ行えばOK。
なお、ボルト類の締め付けトルクは以下の通りなのですが、このレンジのトルクレンチを持ってないので「感覚でギュッ!」と締めておきます。
- ブレーキインナーワイヤーの固定ボルトの規定締め付けトルク 5〜7 N·m
▪️ 作業後の最終点検チェックシート
今回はかなりあちこちバラしてますので、試運転前の点検は念入りに行います。
ホイールの取り付け状態
- 前ホイールのクイックリリースレバーが固定されていること
- 後ホイールの取り付けボルトに緩みのないこと
- 前後ホイールのガタ付きやブレがないこと
ブレーキの状態
- 前後ブレーキを引きずっていないこと
- 前後ブレーキのインナーワイヤー固定ネジが締まっていること
- ブレーキレバーを握って遊び量が適当であること、引っ掛かりなどの異常がないこと
- 前ブレーキのキャリパー固定ボルト、後ブレーキのシュー固定ボルトが締まっていること
駆動系
- チェーンに異常のないこと、スムーズにペダルやホイールが回ること
- 変速機能に異常がないこと
- 速度計に異常がないこと
最後にブレーキ周りをクリーナーで脱脂し、全体をお掃除して作業完了です。ここから際は実走しての確認と調整になります。
▪️試運転
ガタ付きや異音もなく追加調整も不要で、一発合格です。
肝心のフロントブレーキは、前転防止のパワーモジュレータのためマイルドな効き具合になりますが、かなり改善された感じです。少し走ればパッドの当たりが出て更なる改善が期待できます。
▪️点検費用集計
タイヤ2本分 | Amazon | ¥5,616 |
チューブ2本分 | Amazon | ¥1,528 |
リムテープ1セット | Amazon | ¥700 |
(前)ディスクブレーキパッド | サイクルベースあさひ | ¥1,028 |
(後)ブレーキシュー | サイクルベースあさひ | ¥990 |
ブレーキインナーワイヤー1セット | アストロプロダクツ | ¥506 |
合計 | ¥10,368 |
▪️参考資料
- PC版パーツカタログ|ヤマハ発動機/2018年製 PAS GRACE
Assy図、パーツの組み立て順の確認 - シマノ公式のディーラーマニュアル/MTB メカニカルディスクブレーキ
パッドのクリアランス調整 - Torque Chart (DM-TORQUE)|シマノ
各部の締め付けトルクの確認
▪️2023.10.29追記
ブレーキパッドとシュー交換後、60kmほど走った感想です。
フロントブレーキは格段に効きが改善。一つ気になるのは、下り坂で強目に持続的にブレーキをかけた際、自動車のABSが作動した様な小刻みな振動をハンドルから感じます。
クイックリリースが緩んでいるとか、調整時に触れたキャリパーが緩んでいることはないです。ブレーキパッドは割ピンで止めているだけなのでこれ以上の固定方法はなく、ディスクとホイールはバラしてません。
これって今までも起きうる現象だったが、ブレーキの効きが悪くて気づかなかったということ?
ブレーキディスクを見ると、ちょうどパッドが当たる位置に周期的に大きめな三角の穴が空いています。この部分は摩擦がないのでブレーキ効かないですよね?
これだと強くブレーキをかけた際に振動を発生する要因になりそう。
たくさんある小さな丸穴は放熱と摩擦面のクリーニングのためでしょうけど、この大きめな三角穴は何のため?パワーモジュレータと併せて前転防止の前輪ロックを防ぐ仕組み?
後輪は「耐摩耗タイプブレーキシュー」ということで硬めのゴムのようです。
普通に考えると効きが悪くなるのですが、タイヤをスリック系からブロック系に変えたのと併せて、ロックしにくくなってブレーキ制御しやすくなりました。
以上、フロントブレーキは経過観察が必要そうですが、「前輪ブレーキは強めに、後輪ブレーキは弱めに」うまく調整できました。
(おわり)